マイエンジェル†甘い声で囁いて
歌う前に、チラッと三国くんを見てみる。


ぎゃっ!


何でこっち見てるの?


いつもは大体目を閉じて集中してたりするのに、今日は珍しく私を見てた。


歌う前にチラッと三国くんの顔を見るのが、私の歌う前の気合い入れだったんだけど。


うぅ…これじゃ逆効果だよ。


きっ…緊張してきた。


落ち着いてた鼓動が、早くなる。


「風ちゃん!トチッたら、オレとポジション交代なぁ。ドラムは痩せるぞ~っ」


コツンっ!


タクミが後ろから、スティックで頭を叩いてくる。


「痛ぁ~っ!ひどっ…」


頭を抑えてるとお姉様たちも、あれは可哀想だねぇ…って苦笑してる。


可哀想過ぎだよ。痛いってば。


三国くんは…そんな私を見て、笑ってた。


…タクミに叩かれた事と、三国くんの笑顔を見て、緊張が解きほぐされていく。


さっきは何で私を見てたんだろう。


後で…聞いてみよーか。


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