マイエンジェル†甘い声で囁いて
「そぉか?声の伸びも、悪い気するけどなぁ。何か悩み事ある?」


「悩み事…かぁ。あるような、ないような…」


俯く私に、タクミはコソッと耳打ちしてくる。


「風ちゃん、今から久々裏庭行こっか」


「…え?」


「最近ちゃんと話せてないしさ…」


…どうしようかな。


タクミとはいずれきちんと話さないといけないと思ってたけど。今…その時期なのかな。


学祭まで一週間だし、お互い気まずくなるわけにはいかないよね。


「ごめん。今日、友達と約束してるから…」


私がそう言うと、タクミはそう答えが返ってくるのがわかってたかのように、諦めたように微笑む。


「わかった。じゃ、また今度改めて。…風ちゃん、こっち見て」


タクミが私の腕を引っ張る。


その瞬間、女の子の声が更に際立つ。


タクミ~っ!て叫ぶ声を聞きつつ、私の目の前に迫るタクミの胸。


「こん中で、風ちゃんが一番可愛い~」


ギュッと抱きしめられ、突然の事に頭が真っ白になる。


更に大きくなる女の子たちの声。


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