マイエンジェル†甘い声で囁いて
頭によぎったのは、三国くんに見られたくないっていう、罪悪感のようなもの。


「タクミ、…ヤだ」


タクミを押し返し見上げると、ニコッと笑ってる。


「心配させてごめんな。風ちゃん、オレの態度が不満なんだよなぁ?」


「違うよ、…お願い、離してよ」


「またまたぁ~。大丈夫だって、ちゃんと愛してるから。な?」


更にギュッと抱きしめられ、周りの女の子たちもギャアギャア騒ぎだす。


「タクミ、離して…」


「風ちゃん、照れんなって。何なら、学祭の舞台の上で、みんなにオレの彼女で~すって公表してもいっけど」


「離してっ!」


笑っておちゃらけるタクミの体を、無理やり引き離す。


しまった…。


タクミも、周りの女の子もびっくりして目を丸くしてる。


「何様~!?タクミが本気でやってるワケないのにね~」


「学祭までじゃん。うちらも我慢しよ~」


そんな声が聞こえてきて、いたたまれなくなる。


「…風ちゃん!?」


引き留めるタクミを振り切り、そのまま部屋を出てきてしまった。


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