マイエンジェル†甘い声で囁いて
「…えっ?」


突然、聞いていた音楽がプッツリ途切れる。


…あれ?


後ろに人が立つ気配に合わせ、誰かが私の耳からイヤホンをピッと引っ張っていた。


「…没収」


顔を反って上を見上げると、そこに立っていたのは。


一瞬タクミかと思ったけど、違った。


「みっ…三国くん!?」


「オマエなぁ、オレの真似しようたって無理なんだよ。これ見れば見るほど悪循環」


呆気に取られる私をよそに、三国くんはスルスルと私からイヤホンの紐を外し、自分の手の中に収める。


「真似じゃないよ…。こんな風に歌えたらいいなって見てただけ」


「…あれからだから」


「あれから?」


「オレがこれ貸した日から、悪くなってる。オマエのいい所、これが吸収してるのかも」


三国くんはiPodをコツンと叩く。


< 311 / 474 >

この作品をシェア

pagetop