マイエンジェル†甘い声で囁いて
「この続きを聞きたい方は、明日この近くの高校の学園祭を楽しみにしていて下さいね!彼らも出場します」


うわ、三国くん凄い。


今の一言で、店員さんに伝えちゃったの?


しかも店員さん、楽器そっちのけで私たちの宣伝してくれてるし。


「さ、行こ」


三国くんはフッと笑うと、私の背中を押してお店を出た。


お客さんたちは、三国くんが立ち去った後


鍵盤を鳴らし、キーボードの音色のバリエーションの凄さに驚いているようだった。


「やったな。オマエの調子も戻ってきたな。そのいい状態で…明日も踏ん張れよ」


「うん。…三国くん、ありがとう」


言われてみれば、最近本番の曲ばかりにとらわれて、本来の自分の歌い方を見失ってた気がする。


三国くんの歌い方は…


彼が歌うから生かされるんであって、


私が真似してあの歌を歌っても、それはやっぱり違うんだよね。


今日のお客さんの反応を見て、そういう素朴で当たり前な事に気付かされた気がする。



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