あたしの風をあなたに…
オレの言葉に彼女はため息を漏らした

「あんたの音階が最悪なことと、それに気付かない無神経さ、そして音量ね」

「は?」

「あんた…課題曲で一番大事なものは?」

「え…」

―そういえば…そんなこと考えたことなかったな

黙るオレに彼女はため息をつく

「いい?課題曲の大切さはもちろん正確さもあるけどハーモニーよ
ましてや今年はマーチだからもっと重要!!」

「ハーモニー…」

「ハーモニーを作るのに音の正確さ、音量は絶対必要!!
特に2ndは高音が多い1stと低音が多い3rdの間に挟まれてるからバランスとるのが難しいの。

でもあんた何も考えてないで吹いてるから…。
だから音量をとって3rdに持っていくことにしたってわけ。」

「音量をとって?」

「あんたは男子ってのもあるだろうけど音が他の人と比べて大きいの。3rdは基本的に音が低いでしょ?」

「確かに」

「低い音ほどなかなか聞こえにくいっていうか…高い音が多い1stをきれいに響かせるための支えでもあるの。

だからある意味で3rdってすっごく大事なの」

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