あたしの風をあなたに…
屋上のドアをあけると確かに音が聞こえた

目の前に広がる光景は優しい夕日に照らされ所々メッキが剥がれているトランペットを吹く女の子の姿

彼女の瞳は真っ直ぐ遠く、遠い赤い空をみつめている
だけど時々目線を下げ、瞼を閉じたまま吹いている時もあった

─なんて綺麗な音なんだろう・・・
彼女の音は本当に優しくて
柔らかくて…
でもどこか寂しそう…

オレは彼女の演奏が終わるまでずっと聴いていようと思った
だってこのオレ様がオレよりうまいって思わせた唯一の女の子なのだから…
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