二片の桜
「…………考えてたの。」
すると、スゥ――と男の目が細まった。
「何を?」
「何の夢見てるんだろうって…。」
この時。
タイムスリップしたのだと―――砂柚は直ぐに気づいたのだが、柚羅は夢と思い込んでしまった。
ただ、夢にしてはやけにリアルすぎる。
「夢?」
「うん、夢の登場人物に聞くのはおかしいのか、分からないけど聞かせてもらうね、ここ―――――どこ?」
夢の中なのだから気にしなくてもいいじゃないと思う反面、言い知れない不安から口が呟いていた。
「…………。」
急に黙り込んでしまう男に柚羅は首を傾げる。
「君、それ本気で行ってるの?」
「うん。」
潔い程きっぱりとした返事をする。
「じゃあ、そのピストルは本物だよね?それはどうしたの?」
手に持つピストルは柚羅の部屋で砂柚としたゲームで使っていた玩具の銃だった。