二片の桜






「…………考えてたの。」

すると、スゥ――と男の目が細まった。



「何を?」


「何の夢見てるんだろうって…。」



この時。

タイムスリップしたのだと―――砂柚は直ぐに気づいたのだが、柚羅は夢と思い込んでしまった。


ただ、夢にしてはやけにリアルすぎる。



「夢?」


「うん、夢の登場人物に聞くのはおかしいのか、分からないけど聞かせてもらうね、ここ―――――どこ?」



夢の中なのだから気にしなくてもいいじゃないと思う反面、言い知れない不安から口が呟いていた。


「…………。」


急に黙り込んでしまう男に柚羅は首を傾げる。



「君、それ本気で行ってるの?」


「うん。」


潔い程きっぱりとした返事をする。



「じゃあ、そのピストルは本物だよね?それはどうしたの?」



手に持つピストルは柚羅の部屋で砂柚としたゲームで使っていた玩具の銃だった。
< 20 / 27 >

この作品をシェア

pagetop