二片の桜
襖が開かれると中は和室で畳が引かれていた。
黄色の生地に朱色の小さい花が咲いた派手な羽織りを着た男の髪は短く彼の性格を表しているかのように毛先は跳ねている。
それと比べ些か落ち着いた色合いの着流しを着て長い髪を一つに纏めている男がいた―――。
「おー稔麿。遅かったじゃねぇか。」
派手な男がお猪口を手に快活に笑う。
「まぁね、晋作。」
「そうだな。散歩はすんだのか?」
長髪の男は酒が弱いのか既に空になったお猪口を床に置いていた。
「うん、おかげでいいもの拾っちゃったよ。」
二人の視線が稔麿の後ろに隠れていた柚羅に注がれた。