二片の桜
「っ―――!撃たれてない?!」
我に返ったように晋作は自分の胸を触る。
しかし柚羅にとっては銃が玩具であるのは当然のことで。
だからこそ晋作の様子が滑稽で堪らない。
「クスクス……」
この嫌な笑い方は奴しかいねぇ!
「稔麿…てめぇ!!」
晋作は、苛立ちを込めた顔を上げた先には名も知らぬ少女の顔。
どうやら先ほどの笑いは彼女のものだと気付く。
「クスクス…さっきのは玩具ですよ?」
柚羅の後ろでは、似たような顔をして笑う稔麿がいる。
だが、柚羅の方が純粋さがあり好感がもてた。
稔麿の方は、まるで悪魔のよう。
「チッ…。」
晋作は醜態を見られ罰が悪そうに顔を背けた。
笑っちゃダメだったのかな?
柚羅が、首を傾げるとハッとしたように晋作は柚羅を通して、銃を指で弄んでいる稔麿を見た。
「まて…それが玩具ってどういうこった?しかも…」
言葉を一旦区切り柚羅を見る。
「この女が持ってやがったって言ったか?」