二片の桜
「うん。言ったよ。」
ほら。と確かめるよう投げられた銃を手に高杉は、一通り調べていた。
「ほぉ〜、お前…女のくせに変わった趣味してんだな!」
快活に笑われるが一応柚羅の趣味はゲームであり、あながち違うとは言えない。
「そうですか?普通だと思いますけど。」
キョトンとした後、高杉は腹を抱えて笑い出した。
「まぁ、いいんじゃねぇ?たかが女一人のためにどーこーなるわけねぇしな。
稔麿の女ならてめぇが、しっかり面倒見ろよ。」
一頻り笑い終えて、意味深に言う。
暗に何が言いたいのか稔麿は理解していた。
それは自分達の攘夷の妨げになる場合は、柚羅を責任持って始末すること。
彼女が間者だとは思わないが、間者だとすれば大したものだと思う。
子供のように無邪気で、そう匂わせもしないのだ。
「勿論。」
得体の知れない少女。
西洋の銃に似た玩具。
同じく着物も。
全てがこの時代とはかけ離れている。
稔麿が柚羅に感じていることは
――――面白そう。
ただそれだけ。
「女将さんに、もうひと部屋とるよう頼んでくるから。」