二片の桜
バン、バン、バン!
「うわぁ、凄…。」
感嘆する砂柚の視線の先には、テレビの画面の
『パーフェクト!』
という文字と得意気に玩具の銃を構える柚羅。
「ふふん♪」
食後の後、柚羅の部屋で二人で柚羅のゲーム器で遊んでいた。
「うー…次は負けないから!」
「無理無理〜!運動神経じゃ負けるけど。ゲームじゃ、負けないもんね。」
剣道部部長相手に剣道勝負を持ち込むなどもってのほか。
「そろそろ休憩しよっか。」
「え〜。」
「休憩!目が疲れたの!」
砂柚はテレビを消すと柚羅の腕を引っ張ると窓際のベッドに移動した。
窓から下を覗くと車が車庫に入ってくるのが見えた。
「お母さん達、帰ってきたみたいだね。」
「うん…。」
彼らはこれから二人のことを気にもかけず仕事の疲れを取るため寝室に向かうのだろう。
二人はもう甘えたがりの子供ではないし、親に甘えるなどしたくはない。
夜空を見上げると、か細く光る二つの星が闇に浮かんでいた。
近くに他の星は見られなかった。
「柚羅…。」
「何、砂柚…。」
手を握りしめ合う。
「柚羅がいて良かった。」
「私も…砂柚大好きだよ。」
親の愛情はそれなりに貰っていたと思うが、一人の夜を過ごさなくてすむのは片割れの存在がいたからだ。
「私もずっとずっと、大好き!」
「そして、ずっとずーっと一緒だね?」
なんたって家族なのだから。
「当たり前!」
私達はずっと…
…………一緒だよ。