二片の桜
第一章.幕末
新撰組
時は、文久四年一月。
所は、京。
漆黒の空を飾る行く千の星を浅葱色の羽織りを着た男は、魅入るように眺めていた。
この男こそ新撰組一番隊副長助勤、沖田総司である。
無造作に結った髪は、尊敬し心を寄せる新撰組局長である近藤勇の髪型を真似ていた。
けど……月代を剃るのだけは無理ですね。
沖田は、前髪を弄びながら思う。
今の時期、特に霜が降りた日には寒くて布団から出れない。
剃ったりすれば頭が寒いに決まってる。
そう考え、沖田は元服を過ぎてなほ近藤のように月代を剃ってはいなかった。
ちなみに、今は隊士を引き連れ夜の巡査の最中だったりする。