Liar or Truth

 所詮目の前にある世界は虚像でしかない。

 皆にとっては実像でも俺にとっては虚像なのだ。

 マトイの考えと俺の考えが合わないのはそれの違いだろう。


「あたしは自分を苦しめてまで生きるなんて嫌」


 纏は凄い。そうやって自分の気持ちをしっかり持っているのだから。

 人に指摘できる。人に「今」を与える事が出来る。

 ―――…尊敬するよ。




 そんな事を考えていると、目の前に例の店の看板があった。


「ここがLa Cafeかー」

「どんなケーキがあるんだろうね。早く行こ」


 マトイはチアキとリマの腕を強引に引っ張る。


「ほらチヒロ君も!」


 マトイに腕を引っ張られ、少しだけ…少しだけだけれど光が見えたような気がしたんだ。

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