Liar or Truth

 薄暗い部屋に灯された小さな光と籠もる声。


 乱れたベッドの上、

 彼女は下着だけを身に付けた身体をベッドから降ろした。


「チヒロ、もう行くの?」

「学校があるんだ」

「じゃあ次は…」


 彼女は眉を曲げて身に付けたばかりの俺の袖を掴む。

 その反動で俺は一歩下がってしまった。

 そのまま彼女の腕を掴んでベッドに放り投げた。


「チヒロ…」

「何、またヤりたい訳?」


 彼女は布団で自分の胸を隠しながら小さく頷いた。


「残念だけどもう抱かない」

「え、」

「一夜限りだけどそれでも良いなら抱いてあげる、そういう約束だった筈でしょ?」


 彼女はさっきまで弱々しさをアピールするかのように「女」を見せていたけれど、俺の言葉を聞いた瞬間にキッと強く俺を睨んだ。

 俺はそんな彼女の姿を仲間とはぐれて震えている小鹿のようにしか見えなかった。

 睨んでみても結局は俺に相手をしてもらえないという寂しさと苛立ちが丸見えだ。

 溜め息さえも出ない。

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