Liar or Truth

「甘いものが苦手なんて勿体ないよ」

「胃が痛くなるんだ」


 マトイの言葉に適当に返事をしている途中にリマを一瞥してみるけれど、チアキと楽しそうに話している光景が目に染みて一度しか見れなかった。

 今更何を願うというのだろうか俺は。

 「リマ」という存在が綺麗過ぎて、という理由でリマと距離を作ったのは自分じゃないか。
 自分に反吐が出る。




「―――…チヒロ君、」

「え…?」


 話しかけてくれるとは思っていなかった人から自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきて、関心がなかったように返事をしていたマトイとの会話とは別に裏返りそうな声を上げた。


「チヒロ君、牛乳飲めるようになった…?」

「まあ、うん」


 正直、驚いた。リマから話しかけてくるなんて。

 隣に座っているチアキも驚いている。


「何、チヒロ君って牛乳も駄目なの?」


 食い付いてくるマトイに、「小さい頃の話ね」と明後日の方を見ながら答えた。

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