Liar or Truth

「ヒロちゃーん、アキちゃーん」


 ドアの先から母さんの声が聞こえてきて、チアキの後にベッドから降りてドアに向かう。

 一階のリビングに下りると、キッチンからシチューの甘い香りが漂っている。

 俺はやっぱりシチューが好きなんだと自己確認する。


「はいはーい、座って」


 母さんの掛け声でいつもの定位置に座る。


「父さんは?」

「今日も遅くなるんだって。寂しいわよねえ…」


 最近父さんの帰りが遅い。チアキは「浮気だろ」とか言ってるけど明らかに仕事の残業だと思う。

 父さんは浮気できる程器用じゃないし。

< 58 / 118 >

この作品をシェア

pagetop