Liar or Truth
「ヒロちゃーん、アキちゃーん」
ドアの先から母さんの声が聞こえてきて、チアキの後にベッドから降りてドアに向かう。
一階のリビングに下りると、キッチンからシチューの甘い香りが漂っている。
俺はやっぱりシチューが好きなんだと自己確認する。
「はいはーい、座って」
母さんの掛け声でいつもの定位置に座る。
「父さんは?」
「今日も遅くなるんだって。寂しいわよねえ…」
最近父さんの帰りが遅い。チアキは「浮気だろ」とか言ってるけど明らかに仕事の残業だと思う。
父さんは浮気できる程器用じゃないし。