Liar or Truth
「まあ今は遊んどけよ。後で痛い目にあうのは自分自身だけどね」
「チルハって時に無責任だよね」
チルハは煙草を銜えながら「あはは」と笑っている。
「俺、家に戻るわ」
「そう言えばアキは?」
「飯食ってるよ。呼ぶ?」
「ん、呼ばなくてもいいよ」
「そ。じゃあね」
「おー」
散芳と別れた後、俺は家の中に入った。
リビングからはまだシチューの匂いが漂っている。
「おかえり、ヒロちゃん」
「やっぱりシチュー食べるよ」
「さっきお腹いっぱいって言ったのに?」
「…外に出たら腹減った」
嘘だけど。
ただ、なんとなく母さんの味をもう一度口に入れたかったんだ。