Liar or Truth

「―――…君、チヒロ君?」

「あ、何?」

「どうしたの、ぼーっとして」


 持っている花火の火はとっくに消えていて、花火の先から僅かな白い煙が出ていた。


「俺、ぼーっとしてた?」

「してたよ。何か思い出してた?」

「…ううん、疲れてるのかな」

「え、大丈夫!?」

「大丈夫だよ」


 昔の苦い思い出に浸り過ぎただけ。

 それだけだ。

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