あしながおにいさん
美雨が幼女のように
無邪気に遊んでいた
桟橋横の波打ち際に立つ
いまだに美雨と
ここを訪れた日のような
風が吹いている
湘南の優しい海風
ただひとつだけ違うのは
さっき急にやんだ霧雨が
また降り始めそうだということだ
携帯の受信メールを
あけてみる
去年の雨の季節に
一度だけあけて
読み直した二通のメール
一通は美雨からの
・・と言ってもおかしくない
僕との江ノ島での
ことを書いた日記
そしてもう一通は
美雨の婚約者からのだ
霧雨がやはり降り始めた
その優しい雫が携帯の上に
ぽつんぽつんと落ち始める
あの小さな公園の
紫陽花は雫に守られて
一生懸命生きたけど
一週間もしないうちに
夏の熱波に飲み込まれた
今僕も同じように
雫を受け
決心できたような気がする
携帯を眺めていた
僕の瞳からも雫が落ちた
霧雨の雫と僕の涙が
同時に絡み合う
産卵のため
陸地を目指す
雌のウミガメが
海底深くで彷徨っている
導いてあげなければ
生まれてくる子ガメも
母ガメの幸せも
深淵に消え行く
僕は迷うことなく
力強く海へ向かって一歩を踏み出した・・。
〜The end〜
無邪気に遊んでいた
桟橋横の波打ち際に立つ
いまだに美雨と
ここを訪れた日のような
風が吹いている
湘南の優しい海風
ただひとつだけ違うのは
さっき急にやんだ霧雨が
また降り始めそうだということだ
携帯の受信メールを
あけてみる
去年の雨の季節に
一度だけあけて
読み直した二通のメール
一通は美雨からの
・・と言ってもおかしくない
僕との江ノ島での
ことを書いた日記
そしてもう一通は
美雨の婚約者からのだ
霧雨がやはり降り始めた
その優しい雫が携帯の上に
ぽつんぽつんと落ち始める
あの小さな公園の
紫陽花は雫に守られて
一生懸命生きたけど
一週間もしないうちに
夏の熱波に飲み込まれた
今僕も同じように
雫を受け
決心できたような気がする
携帯を眺めていた
僕の瞳からも雫が落ちた
霧雨の雫と僕の涙が
同時に絡み合う
産卵のため
陸地を目指す
雌のウミガメが
海底深くで彷徨っている
導いてあげなければ
生まれてくる子ガメも
母ガメの幸せも
深淵に消え行く
僕は迷うことなく
力強く海へ向かって一歩を踏み出した・・。
〜The end〜