あしながおにいさん
お互いを尊重し、お互いが好むものを受け入れ、理解し、時に賞賛する。趣味が合い、気持ちが高まり、その恋心は一気に加速してゆく。


もちろん現実的なことも避けて通るわけにはいかなかった。


僕には問題を抱える家族がいて、美雨には、話題の中で時々登場する彼氏の存在があった。


僕は思った。その話題を避けて通る資格なんかない。むしろ、美雨に関係していることなんだから素直に受け入れようと。


そして、彼女がそのことで何かの悩みを抱えてるなら、その苦しみを共有しようと思った。



略奪愛なんて、ありえない。そこまでずうずうしくないし、不可能であるという理性くらいは持っていた。

ただ、美雨が、彼氏の話題は僕に気を遣って避けているのではなく、本当に悩んでることがあって、誰かを頼りたいのだなと思った。



そういう素振りをメールのやり取りだけで自然に気付くくらいまで、彼女の存在が日増しに大きくなってきているのを深く感じていた…。
< 29 / 111 >

この作品をシェア

pagetop