あしながおにいさん
待ち合わせ駅のプラットフォームについてまもなく届いた美雨からのメールが、そのもやもやを吹き飛ばしてくれた。


雨女なのに、太陽をも連れてきそうな、そんなメール・・。子供っぽいとか、萌えキャラを演じてるとか、誰かは勘ぐるかもしれない。


だけど、美雨、僕は知っている。君のそののんびりした性格は、限りなく純粋で、ふと浮かんだ言葉は、素直に言い表しているにすぎないことを。

それ以外表現のしようのないことも・・。




「アキさん、もう着いてますか?」



「うん、待ってるよ。けど、ほんとに最後までお互いの顔を知らないでここまで来たから・・どんな洋服を着ているの?」



「ん〜、今ここで電車を待っている人たちの中で、一番ぽ〜っとお間抜けな顔をしてる女の子がいたら、それが私です!」



動作が緩慢だけど、きょろきょろあたりを見回している女性・・。


少し先に君は立っていた。


ついに、見つけた。


心なしか雨足が強まる中、美雨に近づくにつれ僕の心の中だけは梅雨明け宣言のようだった。美雨も僕に気づいたようだ。


二人の間がどんどん狭まってくる。


悲しいかな僕の晴れ晴れとした心に、家族のことがよぎった。数秒後に美雨との会話が始まると言う、まさにその時。



小さな声でつぶやいた。


ごく自然に・・。



「ごめん・・よ」
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