あしながおにいさん
「え‥?!」


僕の、初めて美雨を、美雨の容姿を見た瞬間の感想だ。要するに言葉が出ない…。これほど美しい女性だったとは…。


「はじめまして…。えと、美雨です。アキさん…ですよね?」美雨の声が聞こえた気がしたけど…、すぐ消えた。それは透き通るような響きだったから…。


小顔に大きめの、ひさしのついたアイボリーの帽子を深目にかぶり、セミロングの髪の毛は薄い栗色。白い肌に不釣り合いなほど大きく、輝いてる瞳…。


たぶん化粧らしい化粧はしていないようだ。薄手のブラウスに洗いざらいのジーンズ。


痩せていてとても年相応の女性のファッションとは言えないが、印象的な大きな前歯をのぞかせてにっこり微笑む美雨に、どんなブランド品も必要としない。それほど清楚で無垢な雰囲気を持っている。


僕の‥たぶん理想の女性像…。


「はっ、はじめまして!美雨さん…だよね?」平静を装うつもりだが、ついどもりがちになる。


手が震える…。そして、なにもかも見えなくなる。



目の前に小首をかしげて立ち尽くす、美雨を除いては…。
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