あしながおにいさん
僕達をを見下ろす太陽が、完全にその姿を現した。7月も半ばをすぎ、梅雨明けも間近だ。
湿度のせいであの嫌な暑さを感じるはずだが、海洋性気候の江の島の、しかも頂上にいるだけに海風が優しい。
少し前の、まるで天空に叱責されてるかのような嵐の叫び声が、今や気の早い蝉達の鳴き声に圧倒されている。
あたり一面が陽の恵みによって彩られ、生き生きしてきた。直に灯台や植物園のあるこの場所にも人々が訪れ始めるだろう。
二人だけの世界が終わる前に、確かめなければ‥。
「ぁ‥してる‥」
僕はつぶやくように美雨に言った。小首をかしげ、聞こえなかった、もう一度という仕草をする美雨。
「‥愛してる‥」
今度ははっきりと、美雨の瞳に向けて言った。瞬時に戸惑いの表情になる美雨。そして恥じらい、はにかみながらまた戸惑う。その可愛らしい仕草が、僕の心を刺す。
その後美雨が、戸惑うというよりも非難するような瞳をしたのは無理もない。こんなタイミングであまりに唐突でしかもデリカシーに欠けた言葉。
「‥よね?彼氏のこと」
美雨の瞳が大きく開かれた。なぜこんなに瞳がきらきらしてるんだろう。いつも、どんな時でも。
意地悪い聞き方をしたのは、僕のせめてもの抵抗と、最初で最後にしたいジェラシー。
二人の抱擁を引き離した天空への抗議。
だから、許してほしい。
美雨を見つめて答えを待つ。
聞くまでもなくわかっている答えを。
湿度のせいであの嫌な暑さを感じるはずだが、海洋性気候の江の島の、しかも頂上にいるだけに海風が優しい。
少し前の、まるで天空に叱責されてるかのような嵐の叫び声が、今や気の早い蝉達の鳴き声に圧倒されている。
あたり一面が陽の恵みによって彩られ、生き生きしてきた。直に灯台や植物園のあるこの場所にも人々が訪れ始めるだろう。
二人だけの世界が終わる前に、確かめなければ‥。
「ぁ‥してる‥」
僕はつぶやくように美雨に言った。小首をかしげ、聞こえなかった、もう一度という仕草をする美雨。
「‥愛してる‥」
今度ははっきりと、美雨の瞳に向けて言った。瞬時に戸惑いの表情になる美雨。そして恥じらい、はにかみながらまた戸惑う。その可愛らしい仕草が、僕の心を刺す。
その後美雨が、戸惑うというよりも非難するような瞳をしたのは無理もない。こんなタイミングであまりに唐突でしかもデリカシーに欠けた言葉。
「‥よね?彼氏のこと」
美雨の瞳が大きく開かれた。なぜこんなに瞳がきらきらしてるんだろう。いつも、どんな時でも。
意地悪い聞き方をしたのは、僕のせめてもの抵抗と、最初で最後にしたいジェラシー。
二人の抱擁を引き離した天空への抗議。
だから、許してほしい。
美雨を見つめて答えを待つ。
聞くまでもなくわかっている答えを。