あしながおにいさん
いや、共有なんて押し付けがましいから、理解してくれるだけでよかった。



だけど、聞く耳も持ってくれなかった。



「私はどうなるの?私だっていろいろ我慢してるのよ」

「受験勉強でそれどころじゃないよ」

だからと言って、恨みも持ってないし、しかたのないことと思っていた。

ただ、もどかしさはいつもくすぶっていた。

まるで絡み合う糸のように…

けっして一本の糸には戻らない…

それが、知らず知らずのうちに態度になって表れたのかも知れない。


家族のことに興味を示さない夫、無気力な父。

当たっているのかもしれない。


家族間のもやもやを解消しようとする努力をしない自分がいけないんだ。

妻や子供の気持ちを理解したり、読み取ることはできても、口に出さなきゃ意味がない。

結局逃げていた。自分を殺していればなんの問題も起きずに済むんだ・・。


そしてそのまま時間だけが過ぎていった。
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