私だけのもの











「保健室の先生いねぇし…」







直樹はタオルを
あたしの腕にかけた。





あ…制服ないんだっけ?





「よし…俺が消毒すっから」





「…………。」






あたしは…消毒なんかより…
抱きしめてほしよ………








「消毒いや?」






「……………。」






「愛奈…?」





とまんない涙…





ギュッ…




やっと抱きしめてくれた…









「…あたし…ね……っ…いじめられてた…のっ…」




嗚咽まじりで
直樹に伝えた



「……ん」




直樹は強くあたしを
抱きしめる




「それでっ…さっきは………」







「守ってやれなくてごめん…」








「………直樹」





直樹のあたしを
抱きしめる手が震えてるのが
わかった





「…大丈夫ッ!!!あたし勝ったから」






「愛奈…」




「大丈夫っ…大丈夫…」








「ごめん…」





直樹はあたしを抱きしめてる間
何度も謝った。
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