彼とあたし-もう1人の彼-
ドアを閉めると
そっと離された手。




「…まさ?」





明らかに怒ってる。
なんで?
無駄なことするなって?




この姿…まさは嫌いなの?




「なんでそんな姿になんの?」





いつもより低い声が怖い。
…こんなに怒ったまさ…あたしは知らない。



今までにまさが怒ることなんてなかった。





「…あたし…」
「…。」





自然と零れ落ちる涙。
その涙をまさはふき取ってくれず、
未だにあたしの姿を見ない…
笑顔を見せてくれない。





ずっと背を向けてるまさ。



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