彼とあたし-もう1人の彼-
「っ…ごめ…直してくるね!」



まさの背に虚しく吐いた言葉。
意味のない笑顔を
あたしはまさの背に向けた。






ドアに手を掛けた時…。





「ま、さ?」




ギュッと感じる温もり…。
後ろからそっと包まれていた。




意味わかんないよ?まさ。
期待しちゃ…ダメだよね?
…いいの?




もうわからない涙が流れる。





「謝るのは俺だから」




耳元で聞こえたか弱い声…。
さっきまでの低い声じゃない。
とてもか弱い声だった。




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