彼とあたし-もう1人の彼-
上から見下ろす冷め切った目は…
きっともう狂ってる。




暴れても男の力に勝てるわけない。





もしあたしが犠牲になれば
まさは無事でいられる?
…それだったら…
もうこんなこといいよ。





「匡奇に会えなくしてやるよ」




次の瞬間あたしは
顔、お腹、足…
もう体全体を殴られ…駆られた。






「俺等を恨むなよ?匡奇を恨めな」
「…っ……ぃ、たい」
「なんならこのまま死ぬ?」
「……っ」





声が出ない。
涙だけが零れてる。



あたしどうなるんだろ。
このまま殺されちゃう?
…それでもいいかも。




まさには嫌われてるし…。
まさが側にいなきゃ…
あたしがあたしでいれないから。




「唯伊っ!?…」



遠くで聞こえた声は…
愛すべき人の声だった。




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