彼とあたし-もう1人の彼-
「別れた理由は…」




そこで猛は口を閉じた。
次に口を開いたのは千尋だった。





「まさは唯伊ちゃんのために別れた」
「…。」
「唯伊ちゃんを守るために」
「…まさ…まさ…」
「行って来い…まさのとこに」





そう微笑む千尋と…猛。




「…ありがとっ」
「ほら」
「うん!」




千尋からポンと背中を押され、
あたしは走り出した。




…大好きでたまらない…
まさの元に。






あたしと別れた理由…。
それは全てあたしを守るためだった。




全部全部…あたしのため。



まさの優しさだったんだ。





やっぱりあたしは…
まさが好きだから!
振られてもいいから、
この気持ちを伝えさせてね。




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