★悪魔と妹★




突然現れたシモン様は振り返るとにっこり微笑まれた。



「お待たせして申し訳ありません。妹君」


笑顔を絶やされないまま、



「……しかし、どうしてここに……?」



けれどシモン様の周囲に不穏な空気が漂って、


私は踏み込んでは行けない場所に入ってしまったのでは……?

と、思ったの。



「その、お店を雨水で汚してしまいましたの……。それでお掃除を……」



素直にそう告げると、シモン様のお顔の陰りは消えて、パッと明るい笑顔が戻った。



「そうだったのですね……。お掃除は苦手なので有難いです。


……しかし、ここは魔の巣窟になっていますので、次回からはお茶でも飲んでお待ち頂けると私も安心して店を空けられますよ」


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