★悪魔と妹★
「ア、アデル様~」
一応声のするほうへ返してみたけれど
「娘ー?」
アデル様が応える事はなく、訝しげな様子で私に呼びかける。
声は聞こえるのに私の声は届かない。
(どうなっているのかしら???)
「おい!
いるのはわかっているんだ!」
声の調子が怒気を帯びたものに変わっていく。
気分を害されている様子のアデル様にやきもきしてしまう。
「……………」
いくら呼んでも返事のない私にアデル様は呼びかけることをお止めになった。
代わりにカツカツと靴音が聞こえてきた。
靴音はギシギシと段を踏みしめる音に変わりしだいに近づいてくる。