★悪魔と妹★
ケルベロスさんの目には当時の過酷な状況を思い出したのかうっすらと涙が浮かんでいた。
か…かわいそう……。
「あー笑った…」
マイムお兄様がはぁ…っとため息を吐いて
「しかし、ケルベロス?
戻ってきたってコトは、君……またボクん家に居候するってコト?」
おもちゃを見つけた子猫のような好奇な瞳をケルベロスさんに向けた。
ケルベロスさんは蛇に睨まれた蛙のように固まったままゆっくりと鞄から書簡を出してお兄様に差し出した。
お兄様は手紙のサインに目を走らせると
「ああ、アルル・シャークの当主からの挨拶状……ね
でも大分日付が過ぎてない?」
手紙の紙は傍目にも分かるくらい薄汚れて日に焼けていた。