交換日記
その中に、一際久藤巧の目を引く少女がいた。
大きなピンクの傘を抱えながら、秋から冬へと移り行く季節の風と雨に身を震わせ、てくてくと跳ねる泥を気にしながら歩く華奢な少女。
彼女はここから見る限りでもわかるくらい、周りの人間よりも小柄で、寒さで鼻を赤らめているところなんかを見ると、とても中学生には見えず、下手したら小学校低学年のようなあどけなさを身にまとっている。
雨が強く降っているなか、久藤巧の目には、彼女だけが…いや、彼女と彼女が放つオーラ(巧ビジョンの)がはっきりと映っていた。
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