いじめッ子には報復を。
「いっつもこのくらいだよ?」
「そーなんだ。早起きなんだね!」
スリッパをペタペタ鳴らしながら廊下を歩く。
「中島サンさー、いじめられてんだよね?」
隣の長谷川クンはなんでもないような声で言ったけど、こっちに向ける瞳は少し不安定に揺れている。
「うん。そーみたい。」
急にどうしたんかな?
「ツラくないの?」
「べっつにー?」
気を使ってくれているんだろうか。
軽く発せられる言葉には、明らかにあたしへの心配の色があった。
「あ、でもスリッパを誘拐するのはやめてほしいかな。新しいの買うと高いし。」
だからあたしも軽く返事をする。
だって、心配事なんて一つもないもん。
まぁ、あたしに一言もなく旅立ったスリッパの行方を探さなきゃいけないってことはあるけどね!
いったいどこにやったんだろー?