戦慄の魔説
辺りは街灯があるのに薄暗く不気味だった

そのときだった

どこからかペチペチという音が聞こえてきた

「華音先輩、なんか音聞こえませんか?」

「そう?私にはわからないけれど」

そうか
俺は今普通の人間より聴覚もいいのか!

裸足で歩くような音は俺たちと反対の階段を登っているように聞こえる

「あなたの言う通りきたみたいね、なかなか便利な耳じゃない」

苦笑いしているとそいつが現れた

街灯と薄明かりに照らされたそいつは、大人が土下座しているような形に見える

そいつとの距離は20メートルとちょっとくらいだろうか

眼帯を外したそのときだった

ペチ、ペチ、ペチ、ペチカサカサカサ

すごい早さでそいつは来た

「華音危ない!!」

思わず呼び捨てにしてしまったが謝る余裕はない

棍を振りそいつを弾く

眼帯を外すのが遅かったら危なかった

「!!…なんだあいつ」

言葉を失うとはこの事か
そいつの姿は下半身がなく両手で歩くような感じだった
返り血で男が女かもわからない

「おそらくテケテケと呼ばれる世魔ね」

「テケテケか!想像とはちょっと違う気が」
「また来るわよ」

その早さについて行くのがやっとだった

「そろそろ私も手伝ったほうが良さそうね」
すると手からビー玉みたいな白く光る玉がでてきた

「いってらっしゃい」

その一言で玉はテケテケの目に当たった

テケテケは逃げたみたいだ

「まあ今日は世魔がわかっただけでいいわ。帰るわよ」

なぜか俺の家に向かった
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