この出会いが奇跡なら-上-
「メンバー揃ったとこから、各自部屋行くように」
そう言った教師の言葉に、あたしはハッとある事に一つ気が付く。
「あ!愛子、瀬川さんは?」
「え?あー、ほらあそこで話してる」
「ホントだ」
瀬川さんって言うのは、あたしたちと同じ部屋のメンバー。
あんまり話した事はない。
あの成斗達みたいに、完全に不良に染まってるから。
絡んでる友達も全員、悪ぶってる人ばっか。
聞いたことによると、成斗達の次に、やっかいな人達だという。
それでもあたしは、そこまで悪い人だとは思わないんだけどな。
そう思ったのがきっかけで、今よりももう少し前、クラスで一人孤立してる瀬川さんに、部屋一緒に組もう?と、勇気を出して声を掛けた。
すると瀬川さんは、一瞬驚いたような顔をして、時間をおいて、うん。とそれだけ頷いてくれた。
それがやけに嬉しかったのを今でも覚えてる。
「あ、ここここ!307号室!」