この出会いが奇跡なら-上-




「ねえ、真衣は何であたしたちの名前知ってたの?」


あたしがそう聞くと、


「クラスの子の名前は全員覚えてるから」


少し小さい声で真衣がそう言った。


「…………」


そう言った真衣は、何だか凄く、寂しそうに見えた。


「…………」


本当は、みんなと仲良くなりたいんじゃないの?

もっとクラスの輪に溶け込みたいんじゃないの?


外見が怖いからって、周りから一目置かれてる真衣。


そう思われるのも無理ないって程、外見は不良に染まってるけど、外見だけで人を判断するのはよくないって、昔からそう思ってた。


本当に、その通りだと思う。




あたしが「ねぇ」と真衣に声を掛けようとした瞬間、



「それに、」


真衣が静かにそっと口を開いた。







「それに、成宮さんは、春成斗とも…仲良いから」


「………」



いきなりのその言葉に、あたしは凄く嫌な予感と不安で、心の中がごちゃごちゃに入り混じってしまった。




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