この出会いが奇跡なら-上-





―――駄目。


絶対そんなこと出来ないと、心はそう叫んでいるのに、あたしの口は「…うん、いいよ」と、心とは真逆の事をすんなりと口にする。



そんなあたしの言葉を聞いた愛子が、こっちを見て驚いている。

無理もない。



「本当?ありがとう。桜」

ちょっと言うの不安だったんだよねって、そう言って、顔が少しずつ緩んでいく真衣。


それとは裏腹に、言わなきゃよかったと完全後悔しちゃってるあたし。




真衣。

あたしも、成斗の事好きなんだ。



だけど、そんな事言えるはずもなく、あたしは真衣に協力することになる。




馬鹿だな、あたし。

これじゃ恋より、友情をとったようなもんだ。

いや、まだ真衣とは友情とかそんな事簡単に言える仲になっていないけど。





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