この出会いが奇跡なら-上-
真衣は外見も可愛くて、不良だってとこ抜いたら、きっとモテるくらいの顔をしてる。
そんな子が、成斗に想いを寄せてる…?
そりゃ同じ不良同士だし、興味を持っちゃう事もあるかもしれない。
だけど、駄目なんだよ。
―――あたしが。
こんなのただの我儘だけど、好きな人が同じで、しかも協力して?なんて。
無理にも程がある。こんな状況、誰だって心を痛めてしまうと思う。
「いいよ。」と言ってしまったあたしは、どうする事も出来なくて、協力することしか、今のあたしには残ってない。
ホント馬鹿じゃないの、あたし。
あたしだって成斗の事が大好きなのに。
「…………」
だけどここで、協力を断れば、やっと友達になれるような気がした真衣とも、一瞬にして友情に導ける一歩が、砕けちゃうかもしれないと、そう思ってしまったから。
甘いな、あたし。なんて思いながら、少し照れたような真衣の表情に、ああ。本当に好きなんだなと嫌でも確信する。