この出会いが奇跡なら-上-




「まずさ、どうすればいいの?」



あたしがそう聞くと、真衣は「春のところ連れて行って」と大胆な事をさらりと口にした。




「えっと…う、ん。どこにいるか分かんないけど」


「桜、メールしてみたら?」


すると愛子が、ちょっと口角を持ち上げながら、あたしにそう言った。

愛子。真衣に対しての嫌味に聞こえるよ。


一応、「うん。」とだけ頷いて、成斗に『今、どこにいる?』と言う簡素なメールを送った。


その数分後、相変わらず返信が早い成斗からのメールが届く。


ケータイの画面には、『お前、そんなに俺に会いたいの?(笑)』と、それだけ。


そうじゃなくて、今どこにいるか、場所を聞いてるんだよ。


『んなわけない!で、どこにいるの?』と、送り返して、そのたった数封後、『2階にある自販機の前で光輝達と一緒にいる』ってそれだけ返事が返ってきた。



ああ、いっそのこと、メールなんて返してくれなければ良かったのに。




< 116 / 203 >

この作品をシェア

pagetop