この出会いが奇跡なら-上-
2階にある自販機へを探して、辺りをキョロキョロと見渡す。
2階って言っても、広いからな。
すると横で、「…何か緊張してきた」と、真衣が小さい声でそう言った。
好きなんだなあ…、成斗の事。
「あ、あれじゃない?ほらあそこの」
愛子が指差した方向を見てみると、かすかに見える自動販売機。
「本当だ」
ああ、行きたくない。行きたくなんかない。
心がズキズキと痛んで、どうしようもなかった。
「よう、まじで来た」
「ふ、」と笑いながら、あたし達に気付いた成斗がそう言った。
会いに来たのはあたしじゃない。真衣だ。
「…誰?そいつ」
成斗が頭に「?」を浮かべてそう聞いて来て、あたしは、「え!ああ、この子は、と…友達の瀬川真衣!」と少し動揺しながらも枚をズイっと成斗の前に押し出した。
「…よ、ろしく」
「ん、あぁ、よろしく」
「じゃあ、あたし行くね…」
……あたしがいたら協力の意味がない。