この出会いが奇跡なら-上-
「お前、どこ行くんだよ」
成斗がそう言って、あたしに問いかける。
――やめてよ。真衣が誤解しちゃう。
「いや、部屋に戻るだけだよ」ってそう言って、あたしは愛子に行こう?と声を掛けた。
だけど、愛子に即「無理」ってきっぱり断られた。
愛子は、このまま皐月の部屋に行くらしい。
おお……、気をつけなよ。
「じゃあ」と行って、その場を離れようとしたその時、少し大きな声で「桜」と声を掛けられた。
「光輝」
「あんさ、俺もお前の部屋行っていい?」
「え?あ、うん。いいよ?」
「んじゃ行こ?部屋何処?」
「307号室だよ」
何とか光輝のおかげで、この場を抜け出せたかな。
んー、いや、今思えば真衣だけ置いてきてよかったんだろうか。
嫌で抜けて来ちゃったけど、どうなんだろう。
でも不良同士、盛り上がれるはずだから。