この出会いが奇跡なら-上-
「高校で良い男いるかなー」
昼ごはんを食べ終えて、服屋さんをぶらぶら回っている時、不意に愛子がほわーーんとした顔で、あたしにそう言ってきた。
「…男ねー」
「高校で彼氏作って愛ある生活を送りたーい」
「いい男なんて、相当見つかんないよ」
「桜は2年前の彼以外、眼中にないもんね」
そう言われ、嫌でも顔がカァっと熱くなる。
「もう諦めれば?」
「……その言葉、もう聞き飽きたよ」
「だってもう2年前の話でしょ?あれ以来会えてないのに、まだ諦めないとか桜も意外に一途だよね」
「だって…」
「好きなんだもん…って言いたいんでしょ」
ズバリとその先を当てられて、キュッと口を閉じてしまう。
そう、その通り。
――――好き。
2年前に助けてくれた彼の事が今でも。
あんな短時間で恋するあたしもおかしいと思うけど、会いたい会いたいって、そう思っちゃうんだからどうしようもない。