この出会いが奇跡なら-上-
その後、お風呂から上がり、次入って来たら?と、真衣にお風呂をすすめる。
すると、何故かシーンと黙りこんでいた真衣が、そっと小さく口を開いた。
「ねえ、桜」
「ん?」
「どうしよう…」
何だかすごく、嫌な予感がした。
「私、春にキスされちゃった…」
ドクンと、心臓が大きく跳ね上がった。
その後すぐにズキンと心が物凄く痛くなった。
だから嫌だったんだ。協力なんて。
こうなるんじゃないかって、あたしは分かっていたはずなのに、そのチャンスを与えたのはあたしで、嫌だ、ダメ、と否定してるのもあたしで、もう全て優柔不断だ。
苦しい。苦し過ぎるよ。
あたし、後悔ばっかりしちゃってる。
でも、成斗の行動全てに、あたしはどうしたらいいか、分からなくなるんだ。