この出会いが奇跡なら-上-
アイツの目線の先-Kouki-
真衣って奴を呼んできたあいつの顔は、すごく悲しそうで、切なそうかった。
そんな顔で見つめる先はただ一人。成斗だ。
何となくわかっていた。
多分桜は、成斗が好きなんだろうなって。
でもそれを信じたくない自分がいて、どうしたらいいか、全然俺自身分からなかったんだ。
一緒にいる時も、あいつの事を考えてるのか、素っ気ない返事ばかり。
あまりにも素っ気ない桜に、俺はいつのまにかアイツの体をドサッと後ろへ押し倒していた。
『俺が忘れさせてやるよ』なんて、俺らしくない事言って。
けど、成斗ばかりを気にしてる桜に、すごくムカついた。
いや、桜にムカついたんじゃない。
きっと、嫉妬してたんだ。
桜に気に掛けられてる成斗に。
いいなって、羨ましいなって、そう思ってしまったんだ。