この出会いが奇跡なら-上-
ふいに出た、自分の口からの言葉。
『俺がいるじゃん』
何言ってんだ。と自分でも耳を疑った。
けど、そう言う俺は、もう隠し通せないないんだって、その時改めて気づかされた気がした。
嫌なタイミングで成斗が部屋に入って来た時、成斗の冷たい態度に、俺には絶対向けない瞳をして、桜はじっと成斗を一直線に見つめていた。
そんな姿なんて、見たくない。
自分の気持ちに気付くのがこんなに早いとか、そんなのもう関係なく、俺は、桜が好きなんだ。
自分の心の中にある恋ってやつに、俺は今日、気付かされた。