この出会いが奇跡なら-上-
意味のない行動-Seito-
307と書かれた部屋をガチャと開けた先、そこで見たのは、桜と光輝。
しかも、何で光輝が桜を押し倒してんだよ。って、そう問いかけたくなって、『何やってんの?』と、二人にそれだけ聞いてやった。
すると桜が「違う」なんて言い出して、「何が違うんだよ。」なんて思いながら、心の中でただくつくつと込み上げてくる変な感情を、ひたすらに抑え込むのが精一杯だった。
何故か、行かなきゃ良かったと、そう思ってしまった。
俺をじっと見つめる桜の瞳に、何故かするりとひきこまれて行く。
何で、こんな奴に。ただの遊びだろうが。
ただ俺が前、桜を押し倒したのと、光輝がやってるのは、同じ事だろ。
でも、光輝の目は俺と違った。まるで、本気そのものだった。
……別に、光輝が桜をどうしようが俺には関係ない。
何も関係なんてないし、別にその中に踏み込もうとも思わない。
なのに俺は、この変な感情に、踏みつぶされそうになっている。
それがやけに気持ち悪くて、つい、意味のない行動をやってしまったんだ。
さっき見てしまったものを紛らわすための、キス。
それも、桜が連れて来た真衣という女に。