この出会いが奇跡なら-上-




―――森へ入る瞬間、何故か成斗を見掛けた気がした。




まさかね。来ないって言ってたし。



あたしはそう思いながらも、成斗の事なんて気にせず、ゆっくりと暗い森の中へと足を進めて行った。




「あー……帰りたい」



暗いし、薄気味悪いし、最悪だ。





「――うわあ!」

「え、ちょ!何?!」


いきなり声を上げた男の子に、あたしも慌てて男の子の方へ振り返った。




「こ、こんにゃくが上から…」


「………」

こんにゃくかよ。



「驚かさないでよね!もっとシャキっとしなさいよ!シャキっと!」


「…ご、ごめん」


「いや、こっちこそ…」



そんなあやふやな会話を交わしているその時、何故か遠くでガサっという嫌な音が聞こえた。




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