この出会いが奇跡なら-上-
「な、何…?」
……怖い。
そう思って、音がした方をじーっと見つめていると、ひょこっと顔を覗かせて、草の中から出てきたのは、予想外な小さな子ウサギだった。
あたしはそれにほっと息をつき、手でこっちおいで。と子ウサギに手招きする。
すると子ウサギがぴょんぴょん跳ねながらこっちに来て、あたしに怖がりもしない子ウサギに、そっと触れた。
「あなたも、一人なの?」
問いかけても、もちろん答えてくれることはなく。それでも少し安心出来た。
その次の瞬間、またガサリと、遠くから音がした。
その音に気付いた子ウサギは、あたしの手元からささっと逃げていってしまった。